講演会「車ノ前五輪塔と柏市大井地区の中世世界」
千葉県柏市は、中世の遺跡や遺物が多く残る地域であり、特に旧沼南町域は、相馬御厨や手賀沼沿岸にいた相馬氏の拠点などもあるため、豊富な歴史の遺産がある。平将門の伝承があるのも、相馬氏との関連であろう。
実は柏市域には板碑も多く、殆どが武蔵型板碑であるが、鎌倉時代の下総型板碑の優品が、大井地区にある。大井地区の阿弥陀様板碑というものは、高さが人の身長ほどあり、年号がないが、文永年間頃のものと推定されている。大きさもさることながら、阿弥陀三尊を丁寧な形であらわしており、当地にいた相馬氏一族の誰かの供養のためのものであろうか。
また、柏市大井地区には、車ノ前五輪塔という古い形式で、高さ約160cmという大きな五輪塔があり、その五輪塔がある場所は妙見堂跡地で、地元では車ノ前という平将門の側室が将門の供養をおこなった場所とされている。どうも、その場所には、他にも五輪塔や板碑があったということである。今も周辺の家々では、妙見講を行っている。
柏市は、隣接する松戸市に戸定邸、東漸寺といった徳川氏ゆかりの史跡、あるいは本土寺といったビッグネームの寺院があるのに対し、やや地味ではあるが、中世を中心とした史跡が多い場所でもある。その中で、柏市大井地区は中世的な景観の残る場所である。板碑が大井に多い(シャレではなく)のも、香取海という内海に接する水上交通の拠点ゆえであろうが、古代からの遺跡も同じような場所にあり、引き続き鎌倉時代、中世前期に栄えた場所であったのであろう。
手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会では、その柏市大井地区にスポットをあて、近く講演会を開催する予定である。
<以下、手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会ブログより転載>
講演会「車ノ前五輪塔と柏市大井地区の中世世界」
手賀沼周辺には古い歴史があるのをご存知ですか? 柏市大井には、平将門の愛妾車ノ 前の供養のために建てられたという五輪塔など古い石造物や遺跡があり、中世の歴史的景観が残っています。 そこには、平将門に関する伝承も残っています。 今回、 柏市大井地区に焦点をあて、水上交通の視点から柏の中世世界を探ります。 中世考古学の専門家を講師に迎え、お話していただく予定です。皆様、お気軽に。
(下の写真は、阿弥陀様板碑見学の様子(左)、車ノ前五輪塔(右:2009年当時の写真))
・会場:パレット柏 ミーティングルームA・B・C (柏市柏1-7-1-301号 Day Oneタワー3F)⇒ アクセス:柏駅南口より徒歩3分
・日程:2017年9月30日(土) 13時開場、13時半開演 ~16時半くらいまで
・講演テーマ: 車ノ前五輪塔と柏の中世 講演「車ノ前五輪塔と柏市大井地区の中世世界」 +レポート「柏市域の板碑」
・講師:間宮 正光氏 (千葉県文化財保護指導委員)
・参加費:300円(資料代など)
・その他:申込不要(先着75名まで)。 会誌「水辺の城」、松ヶ崎城跡写真集頒布中。 お問合せは、森(090-3579-5185)まで。 駅から近いのでなるべく電車などでお越しください。 駐車場は会場にはありませんが、隣接した有料駐車場をご利用願います。
会場で板碑および資料の展示あり、当講演会の場で板碑の説明も行い、歴楽講座第5回と兼ねます
車ノ前五輪塔の前で:大きさは台座の上から約160cm(左側の女性と比べて見てください)
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